自然と人のダイアローグ ~国立西洋美術館~

19世紀後半、印象派の画家たちはイーゼルを外に持ち出し、自然をモチーフに創作を始める。
海だったり森だったり山だったり。時には、街の豪華な宴だったり、郊外での日光欲もモチーフになった。
すべての創作物はパステルカラーで華やかで美しい。
ウジェーヌ・ブーダンは青空と白雲の表現者だった。人は彼を”空の王者”と呼んだ。
浜辺に人々が集う姿を遠くから眺めているような作品が目立つ。
正装した男女が浜辺で何をしているんだろう?
そんなことより、風が強くなり一雨来そうだけど大丈夫なのかな?

ウジェーヌ・ブーダン
《トルーヴィルの浜》

その男はタヒチにいた。都会の喧騒や人間関係に嫌気がさして逃亡。焦げるような陽の光に身を晒し、ミクロネシアの女性を描くことに没頭した。
痛い程の陽光を浴び、魚を釣り、フルーツを貪り、褐色の肌の女を大胆で力強い輪郭で描き上げる。
光が有れば影が出来る。まだらな粘土質の壁が淫靡な半裸の女を浮きあがらせる。

ポール・ゴーガン
《扇を持つ娘》

印象派の作品中心にして、自然との対話をテーマにした企画展。
バラエティに富んで、少しも飽きさせない味付けは秀逸。
ひと時の安らぎと幸福感を与えもらった。